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第02話 金色の邂逅


 穏やかな日常。

 けれど事態は確実に進行していて。

 私は動かなければならない。

 自分でそう決めたから。

 誰かが悲しむのは嫌だから。










 はやての部屋の窓から朝日が差し込み、それに反応したミルアが目を覚ました。

 ミルアはむくりとベッドの上で上体を起こす。

 部屋の中は綺麗に片付いており、机の上や本棚に綺麗に並べられた数多くの本が、部屋の主であるはやてが読書好きであることを伺わせていた。ベッドのまくら元には昨晩、はやてが読み聞かせてくれた本が置いてある。

 そこでふと、ミルアは自分の隣を見る。

 はやてが気持ちよさそうに眠っている。しっかりとミルアの手を握って。

 何故に? ミルアは首をかしげた。

 ここ数日ずっとこんな感じである。

 毎晩、本を読み聞かせてくれるのはいい。耳に心地いいし楽しい。

 けれど毎晩のようにしがみついて眠るのはどうなのだろうか? そう思いつつも、今まで一人暮らしだった事をかんがえると、これも仕方ないのかな。と一人納得しておくミルア。


「しかし、どうも落ち着かないというか、なんというか……」


 ミルアはそう言って本棚を見つめる。その視線の先には一冊の本があった。

 「闇の書」と呼ばれるそれ。

 「呪いの魔導書」など、とにかく言い呼ばれ方をしていないし、歴代の持ち主は碌な死に方をしていない。

 捨てればいいというものでもない。「闇の書」自体、破壊するのが極めて困難で、仮に破壊されても「転生機能」と呼ばれるもので次の持ち主の元へ転生する。前の持ち主がどういう経緯をたどったかはミルアは知らないが、「闇の書」がはやての元へ転生してきたという事は、前の持ち主は死んだということなのだろう。そして転生した「闇の書」はあらたな持ち主の魂と結びつき決して離れることがない。

 まさしく「呪い」

 この呪いを完全に解く方法に一つだけ心当たりがある。それは本当に小さな望みではあるが、そこに賭ける前からあきらめるつもりはない。

 だが、その前に条件をクリアしないといけない。それは随分とハードルの高い条件だが、やるしかない。その為にも準備は早々に始めるべきだろう。

 そして何より、眼前に迫りつつある「ジュエルシード事件」これも何とかしないと……

 そこまで考えて、ミルアは内心で自嘲した。

 自分はなんて欲張りなんだろうと。誰もかれも救おうとしている。

 それでも、とミルアは自らの隣で眠るはやてを見る。

 守りたいと思うものがあるから、あきらめるわけにはいかない。

 きっと、過去に現在、そして未来、多くの人は誰かを守りたいと、そう思い、その身を賭けてきたのだろう。

 私もそれに倣ってみようと、ミルアはそう思いながら眠るはやての頭を撫でた。





 世界は一つではない。

 無数に、それも星の数ほどに世界は存在する。それらは総称して次元世界と呼ばれている。

 そんな次元世界を管理する組織がある。

 名を「時空管理局」

 管理とは銘打ってはいるが彼らが行っているのは管理というよりも監視というほうが正しいのかもしれない。

 というのも彼らが認知できている世界は、星の数ほどある次元世界のほんの一握り。砂漠の砂の一つまみほどでしかない。しかも彼らが接触し、交流を行っているのは更にその内の一握り。なおかつその中で彼らの管理に甘んじているのは更に一握りとなる。

 それ以外はただただ見守っているに過ぎない。

 何をどう見守っているのかといえば世界が丸々滅ぶような次元災害と呼ばれる災害に見舞われていないか、あるいはそのような兆候はないか、あれば予防を、といったことや、他所の世界からの犯罪者はいないかなど。その世界の住人に知られることなく、その様な活動を行っていた。

 他にも色々な活動は行っているが、総じて「次元世界全体の平和」の為である。

 その次元世界の狭間を航行する船、管理局所属の次元空間航行艦船「巡航L級8番艦・アースラ」そのブリッジで少年が腕を組んで唸っていた。

 見たところ年齢は十代前半、短めの黒髪にまだ幼さを残した顔立ちは「かわいい」と形容できるかもしれない。

 そんな彼はこのアースラにおいて艦長の次に権限を有している執務官である。

 彼は目の前の空間に浮かぶモニター内の映像を見ながら時折、指でその映像をスライドさせ何かの数値が大量に羅列されたものを睨んだりしている。


「どうしたのクロノ?」


 クロノと呼ばれた彼は声をかけられた方を振り返る。

 そこにいたのは、このアースラの艦長である女性だった。長い髪を後ろで結わえてポニーテールのようにしている女性は大人特有の落ち着いた雰囲気を漂わせていて「頼りになる艦長」と形容できるものがあった。

 それでも、その瞳には若干、茶目っ気のような光も宿っていて、どこかしら親しみを感じさせる。

 彼女の名前は「リンディ・ハラオウン」執務官である少年「クロノ・ハラオウン」の母親でもある。ちなみに年齢に関しては彼女の部下は元より他の局員も聞くことはない。

 時空管理局は、自らの意思と実力があれば十代に満たなくても局員として働ける。

 そんな管理局で年齢など大した意味はないし、女性に年齢を聞くのも失礼、あと、なんか聞くのも怖い、という様々な理由から、彼女が歳の話題にさらされることはなかった。


「実は艦長、この観測データなんですが」


「あぁ、つい先日に観測されたものね」


 クロノが見せるデータにリンディは小さく頷いた。

 そのデータから読み取れるのは、ある世界に何かが複数転移してきたということ。


「この直前、付近を航行していた輸送船が事故に遭い、輸送中の重要貨物が流出したとの報告があって、その重要貨物かと思ったのですが、報告による重要貨物の質量と、このデータが示す質量が一致しません。データの示す質量のほうが圧倒的に上です」


 クロノがそう言うとリンディはそのデータを見ながら、


「このデータだと細かい転移位置はわからないようね。重要貨物はロストロギア『ジュエルシード』別名『願いを叶える石』……」


 彼女の言うロストロギアとは、今は滅んだ世界が残した遺失物。総じて危険な代物であることが多く、その世界を滅ぼした一因になってることも多い物だ。

 リンディが見ているデータの横にはそのジュエルシードの画像が付属されている。手のひらに収まるほどのひし形の青い宝石。


「この映像は?」


「これは現地にサーチャーを飛ばして得た映像です。ここ、わかりますか?」


 リンディの問いにクロノは映像のある点をさす。

 そこには日本のビル郡が写っている。ちょうどお天気カメラのようなアングルで何処かのビルの屋上から町並みを眺めているような映像だった。

 そんな中、映像の中で何かが動いた。背景に溶け込んだ何かが画面を横切っていく。陽炎のような何か。そう表現することが出来る。


「これ、光学迷彩?」


 リンディの問いにクロノは頷き、


「恐らく。これは局でも普及していないものです。しかも現地の技術力では到底無理です。あくまで推測ですがこの光学迷彩を纏った何かが転移してきた正体かと。目的は定かではありませんが……」


 クロノの言葉をリンディが引き継ぎ、


「目的はジュエルシードかしら?」


「タイミング的にはそう見るのが普通かと。もしかしたら輸送船の事故もこの何かが仕組んだ可能性もあります」


「急いだほうがいいわね」


 リンディはそう言って頷くと現地へ急いで向かうためアースラクルーに指示を出し始めた。

 目的地は「第97管理外世界」

 現地名を地球という。





「天気が良くてよかったですね」


「ほんまやね」


 そう言いながらミルアは、はやての乗った車椅子を押していた。

 二人してデパートへお買い物。

 目的はミルアの服を買うためだった。

 ミルアはわざわざ新しく買わなくてもいい、と言っていたのだが、はやては自分の服よりも似合うものを買ってあげる、と聞かず、なかば強引にミルアを外に引きずり出したのだ。ミルアの本音としては余り外出して人目に触れたくないというのもあったのだが。

 と、言うのもミルア自身の容姿に理由がある。

 病的と言ってもいいほどの白さをした肌に、太陽の光をキラキラと反射するほどの白い髪。おまけに深く赤い色をした瞳とくれば相当に目立つ。

 たとえ目立たなくても一目見ればその特徴的な容姿で記憶に残る可能性は十分にある。

 これから色々やろうとしている身としてはあまり目立ちたくはなかったのだ。ないより傍にいる、はやてに迷惑がかかるかもしれない。

 というわけで、今現在ミルアはフードつきの上着を着て目深にフードをかぶっている。

 天気がいいせいもあってか正直暑い。ミルアたちは歩道を進んでいるが街路樹以外日陰を作るようなものがない。


「私ら周りから見たらどんな関係に見えるかな?」


 はやてからの不意な質問にミルアは僅かに首をかしげると、


「まぁせいぜい友達でしょうね。姉妹というには似てないですから」


「恋人同士とか無理かな」


「無理ですね。さりげなく何いってくれちゃってるんですか」


 はやてはミルアにバッサリ切られて「ちっ」と舌打ちをした。

 ミルアとしても、はやての意図が理解できなかった。

 すると、はやては不意に歩道端の茂みを指差し、


「あれ、なんやろ?」


 ミルアがはやてが指差す方を見ると、そこには宝石のように光る石があった。

 それを見たミルアは思わず固まる。

 ミルアは、え? なんで? と内心で自問しつつ、よく考えたら別におかしなことではないか。と一人で結論づける

 はやてはそんなミルアを不審に思い、


「どないしたん? あれ何か知ってんの?」


「えぇ、知ってると言えば知ってます。こんな形で見つけたくはなかったのですが」


 そう言ってミルアは光る石を拾い上げた。その石は何かをねだるかのように光り続けている。

 ミルアは封印処理をするべく石を、ジュエルシードを軽く握った。するとジュエルシードから放たれていた淡い光は徐々にその力を失っていった。

 次にミルアが手の平を開いた時にはジュエルシードは完全にその輝きを失っていた。


「で、それなんなん?」


 はやてはそう言ってミルアを覗き込むが、ミルアは人差し指を自らの口元に持っていき、


「秘密です」


 無表情でそう言った。

 むむむと唸るはやて。

 ミルアの表情は未だよめないが、その手に持つ石がなにやら、よろしくない物、というのは感じ取れた。

 はやては小さくため息をつくと、


「わかった。それに関してはもう聞かへん。けど私のお願い聞いてくれるか?」


 そう言ってにっこりと笑うはやて。

 はやての言うお願いに何処か嫌な予感がするミルアであったがジュエルシードのこともあるし、としぶしぶ頷いた。

 結果を言えばミルアは、はやてのお願いを了承したことに後悔することになる。

 デパートの試着室で、目を輝かせたはやてによって着せ替え人形と化すミルア。この時ミルアは自分の精神ががりがりと削られていくような感覚に襲われた。

 内心で早く終わってくれ、と願うミルアの思いもむなしく、結局二時間近くミルアは色々な服を試着する羽目になったのだった。





「それでは行ってきます」


「はい、気をつけてな。ちゃんと夕飯までには帰ってきいや」


 そう言うはやてに見送られミルアは家を出た。

 デパートからぐったりした様子で買ってきたミルアと満面の笑顔のはやて。

 ミルアは帰ってすぐにはやてに外出の旨を伝える。

 フードを目深にかぶりミルアは黙々と歩き始めた。

 ここ数日、日が沈みだした頃を見計らってミルアは外出していた。

 目的はジュエルシードの捜索。以前にミルアが見た記録と、ミルア自身の記憶が確かなら、ジュエルシードの総数は二十一個。ミルアの計画の達成のためには一つでも多くのジュエルシードが必要になる。

 ふと、ミルアは公園に差し掛かったところで足を止めた。きょろきょろと辺りを見回してから公園内の林へと入ってゆく。実に不信人物。

 林の中に入ったミルアは地面に膝をつくと周囲の落ち葉などを掻き分けて何かを探し始める。何かというのは勿論ジュエルシードである。

 この辺りで反応を検地したのだが細かい位置まではわからなかった。

 現状保有しているジュエルシードは三つ。

 しかし他の収集者がいくつ持っているかまではわからない。

 一人は「高町なのは」この世界の魔導師。この世界の地球に魔導師の素質を持つものは極めてまれで、高町なのははそのなかでも特に秀でた者だ。

 一般人として生活してきた高町なのはだがこのジュエルシードを巡る事件をきっかけに魔導師として目覚める。

 だったかな? とミルアは僅かに首をかしげる。

 もう一人の収集者は「フェイト・テスタロッサ」彼女の母「プレシア・テスタロッサ」の命令でジュエルシードを集めている魔導師。こことは違うミッドチルダと呼ばれる世界の出身。

 そしてミルアが元の世界で世話になった人物の一人。

 ミルアの計画上、彼女との接触は避けられないし、なにより彼女の母親であるプレシア・テスタロッサの協力が必要になる。

 どうやって接触を図ろうか、そうミルアが思っていると、光る何かが視界に入った。


「あった」


 ミルアはそう小さく口にすると、ジュエルシードを拾い上げ即封印する。これで四つ目。今のところ全て暴走状態での発見には至っていない。暴走状態では、まずその暴走を止めなければいけなかったり、周囲の動植物が暴走のきっかけの場合それを取り込んで、とんでもない凶暴性を発揮したりと実に面倒くさいことになる。

 面倒がない分、運がいい。ミルアは気分よく帰宅しようとした時、不意に後方に気配を感じた。

 ミルアは振り返ると同時に半透明の魔法陣状のシールドを右手に展開する。

 次の瞬間、展開したシールドに誰かの拳が叩きつけられる。

 ミルアは目深にかぶったフードから拳の主を見上げる。夕日のような茜色の長髪に狼の様な耳と尻尾。八重歯と額い埋め込まれた宝石のような物が特徴的な女性。

 確か、フェイトさんの使い魔のアルフさん。そうミルアは記憶をたどり答えを出す。

 アルフはシールド越しにミルアを睨みつけている。

 しかし、唐突にシールドが砕け散りアルフは後方に吹き飛ばされた。綺麗に着地したアルフを正面を見据え、そして舌打ちした。

 アルフの視線の先、真っ白な髪が林を吹き抜ける風に揺れる。黒のティアードスカートがひらひらとなびく。ゴスパン調のバリアジャケットに身を包んだミルアがそこにいた。

 アルフはぎりっと奥歯を噛みしめ、


「あんた、何者だ……」


「それはこちらの台詞です。あなたこそ誰ですか?」


 アルフの言葉にミルアはしらをきる。自分はあくまで通りすがりで通すつもりである。


「あなたが誰かはともかく、さっきの攻撃、私がただの一般人だったらどうするつもりです」


 ミルアがそう問うとアルフは吐き捨てるように、


「ジュエルシードを封印した奴が一般人とかぬかすなっ!」


「まぁ確かに。で、あなたの目的は―――」


 ミルアはそこまで言って振り返り、自らに振り下ろされる刃を右手で掴んだ。死神が持つような大きな黒い鎌。その刃の部分が魔力で形成された魔力刃で出来ている。

 魔力で出来た防護服であるバリアジャケットで出来た黒い薄手の手袋をしているとはいえ、魔力刃が僅かに肉に食い込み、流れでた血が腕を伝ってゆく。

 ミルアは鎌を振り下ろしてきた人物を視界に捉える。金色の長い髪をツインテール状に結わえ、その髪が風になびいている。黒いマント、黒いバリアジャケットにその身を包み、身長はわずかにミルアより高いかもしれない少女。ジュエルシードの収集者「フェイト・テスタロッサ」

 意外と早く接触できましたね。ミルアは声に出さずに内心でそう吐く。

 フェイトはミルアと同じ赤い瞳でミルアを睨みつけながら小さく、


「それを、ジュエルシードをこちらに渡してください」


 フェイトの言葉にミルアはあっさりと「いいですよ」と答える。予想外なミルアの返答に思わず「え?」ともらすフェイト。アルフの方もポカンとしている。

 そんな二人をよそにミルアはジュエルシードを一つ取り出して、


「いらないんですか?」


 その言葉にフェイトは戸惑いつつ、


「あの、いいんですか?」


「渡してくださいといったのは、そちらです。おかしなことを言うのですね」


 ミルアはそう言って首をかしげ、


「これが物騒な代物なのはわかりますから、封印したに過ぎません」


 そう言ってミルアはジュエルシードをフェイトに突き出した。

 フェイトは戸惑いながらも手にしていた大きな鎌を、三角形の宝石のような待機状態に戻した。使用者の魔法の発動の補助などをサポートする魔法の杖、デバイス。フェイトの持つそれは人工知能が搭載されたインテリジェントデバイスと呼ばれるものだ。

 ミルアが突き出したジュエルシードを受け取ったフェイトは不意に、はっとしたように、


「あ、あの、手……手は大丈夫ですか?」


「大丈夫です。元より大した傷ではありませんし自動治癒も効いてますから」


 ミルアがそう言うとフェイトは、ほっとしたようにする。そして姿勢を正すと、ぺこりと頭を下げ、


「その、ごめんなさい」


 そんなフェイトを見たアルフもばつが悪そうに頭をかきながら、


「悪かったよ。いきなり殴りかかったりして」


 ミルアは手のひらをひらひらとさせながら、


「別にもういいですよ。ですが一つ聞いても?」


 ミルアの言葉にフェイトは頭に疑問符を浮かべながら、


「あの、何を?」


「何故ジュエルシードを?」


 ミルアのその言葉にフェイトは固まった。

 何故そんなことを聞くのか。ミルアにはちゃんとした理由がある。

 フェイトがジュエルシードを集めている理由は母親であるプレシアの命令だからである。

 ミルアはフェイトからその事を聞くことでプレシアとの接点を持とうとしていたのだ。

 しかしミルアの目論見はよそにフェイトは黙っている。見ればアルフも気まずそうにしていた。

 一押し必要かな。そう思ったミルアは、


「事情を話していただけたら協力することもできますよ? 探し物をするなら人手は多いほうがいいでしょうし」


 ミルアがそう言うと、フェイトは困ったような顔をした。どうしようかと悩んでいるようだった。

 するとアルフが、


「なぁ、フェイト。協力してもらおうよ。速く集めなきゃならないんだから」


 アルフの言葉にフェイトはしぶしぶ頷くと、


「母さんの研究に、どうしても必要なんです。だから……」


 フェイトの言葉にミルアは頷き、


「わかりました。そう言うことでしたら私も手伝います。見つけたらその子に連絡を入れる、ということでいいですか?」


 ミルアはそう言ってフェイトのもつデバイスを指差す。

 フェイトも頷いて、


「うん。この子『バルディッシュ』に連絡をお願い」


 フェイトの言葉にミルアは頷いた。そして左手を差し出すと、


「自己紹介がまだでしたね。私の名前はミルア・ゼロです」


 その言葉にフェイトは頷いて差し出された手を握り、


「フェイト・テスタロッサです。あの子は使い魔のアルフ」


 見ればアルフは八重歯を除かせて笑顔を見せていた。それにつられる様にフェイトも僅かに表情をやわらかくする。

 そんな中ミルアだけ二人から視線をそらしていた。

 嘘をついている。そしてこれからも嘘をつき続ける。つき続けなければならない。

 その事実にミルアは胸がちくりと痛むのを感じていた。







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